鍛冶師

 どんな仕事?

使う人の目的に合わせ、ほぼ全工程を手作業で行う

包丁やはさみ、鉋(かんな)といった刃物や農具などを、注文に応じて、ほぼオーダーメイドでつくるのが鍛冶師。そのほとんどを手作業で行います。たとえば包丁づくりには、30以上もの工程があります。また、組み合わせ刃物と呼ばれる二つの刃物を組み合せて使うはさみ等は、高い技術を要し、一層使い手に配慮した姿勢も作り手に求められます。ちなみに、刃物職人の中で頂点に位置するといわれる刀鍛冶(刀匠)は、砂鉄を原料とした玉鋼(たまはがね)を鍛えて刀を作るのに対し、鍛冶師は鋼を原料とします。

 こんな人に目指してほしい

機能性と堅牢性を両立する工夫、たしかな判断力も

生活に根ざした実用品を生むのが鍛冶師。使いやすいデザインのみならず、長い間使用できる丈夫な作品をつくるための創意工夫が欠かせません。また、オーダーメイドでつくる場合は、お客さんから受けた注文を整理し、一から設計もします。図面を引くのが好きな方には、きっと楽しい作業でしょう。こうした一方で、熱した鋼を、ハンマーで何度も叩く工程を繰り返す作業もあるので、体力面も求められます。また、鋼を熱する際は、温度管理が必要とされ、炉から出すタイミングも見極めなければならず、すばやく正確な判断力も必要です。

 つる鍛冶屋への道

鍛冶師に弟子入り。
未経験から目指す方も

鍛冶師になるには、特に資格は必要ありません。まずは、包丁であれば大阪の和泉市や堺市、鎌であれば新潟の三条市が有名ですので、そうした工房などで見学や体験するのもおすすめです。鍛冶師を目指す方の傾向としては、家業を継ぐ方が大半を占めますが、まったくの未経験から目指す方も最近では珍しくありません。しかし、弟子を取らない職人も多く、弟子入りが最大の関門といえます。弟子入りさえ出来れば、後は腕次第となるため、見よう見まねであっても、いかに一つ一つの仕事に懸命に打ち込めるかが、鍛冶師に成れるか否かを左右することになります。

この職人がつくるモノ・コト 包丁 はさみ 農具 鉋(かんな)
このワザに関わる資格 鋳造技能士、金属溶解技能士
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