型紙彫刻師

 どんな仕事?

細かな模様を彫り抜き、着物の染色を支える

模様を着物の生地に染めるために用いる型紙をつくる職人です。型紙は、友禅、ゆかた、小紋などの柄や文様を美しく表現するのに重要な工芸用具。型地紙(かたじがみ/柿渋を使って和紙を貼り合わせた紙)に、200本以上の彫刻刀を駆使して模様を掘り抜きます。特に、型紙の日本生産量99%を誇る三重県の伊勢形紙では、錐(きり)彫り、道具彫り、突(つき)彫り、引(ひき)彫りという4つの彫刻技法を使い分けて創出。その繊細な美しさは、単なる工芸用具にとどまらず、美術工芸品としての価値も見いだしています。

 こんな人に目指してほしい

200本以上の彫刻刀を使う繊細な手作業

半径1ミリにも満たない彫刻刀などを用いて、場合によって1センチの型地紙の中に11本の縞(しま)を彫るため、細かな作業が好きな人に向いています。職人の魂ともいえる彫刻刀は、実に200種類以上。針金で自作する彫刻刀など、時には道具を自分の手でつくりだします。完成した型紙は染付職人の手に渡り、型染めで美しい着物になります。この染めあがる柄に魅了されて、型紙彫刻師を目指す人もいるほど。自分の彫った柄が、着物の美しさを引き立てているのです。また、精巧で緻密な彫刻技法は、型紙のほか、襖(ふすま)、屏風といったインテリアなども生産。自分の可能性が広がる魅力もあります。

 型紙彫刻師への道

生産量日本一の三重県で
彫刻技法・道具づくりを学ぶ

資格や学歴は、特に必要ありません。型紙のほとんどを伊勢形紙が生産しているので、現地で直接携わることをおすすめします。その後、自分の得意とする彫刻技法を見極めて習得。彫刻の技だけでなく、道具づくりも大切になります。一人前になったら、独立の道も開くことができます。

この職人がつくるモノ・コト 染色用具、美術工芸品、インテリア
このワザに関わる資格 特にありません
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