秋田県 秋田杉桶樽

 秋田杉桶樽の歴史

起源は平安後期。江戸期に産地が
形成され、明治期には全国に普及

秋田杉桶樽日本3大美林の一つ「天然秋田杉」を有する秋田。この地で秋田杉桶樽づくりが始まったのは、秋田城遺跡内で発見された桶や樽の破片から平安後期と考えられています。また、1612年の文献・秋田藩家老「梅津政景日記」に、県内の酒屋で桶が使用されていたことが記されていることから既に商人の間に普及していたようです。その後の江戸期には、当時の秋田藩主の奨励・保護もあり、産地が形成されました。明治期に入ると、頑丈な秋田杉桶樽は好まれ、ほとんどの家庭で洗濯用の「たらい桶」やご飯を入れる「おひつ」が愛用されるように。大正期には、樽の需要が増大し、醤油樽、漬物桶、すし桶等新しい用途を開拓していきました。近年においては、インテリア商品にわたるまで幅広く展開することで、秋田杉の持つ木のぬくもりを多くの人々に届けています。

 秋田杉桶樽の魅力

美しく整った木目。ビールや
お米のおいしさを保つ機能性

秋田杉桶樽寒冷地という厳しい環境で育った天然秋田杉は、年輪の間隔が狭く揃っていているため、木目が細かく美しいのが特徴。一方、収縮が少ないため狂いが生じにくく、修理などをほぼ要さず、長い間使い続けられるのも魅力です。また、作品の種類も幅広く、たとえば、炊き上がったお米の温度と湿度をうまく調整し、冷たくても固くなるのを防ぐ、昔ながらの「おひつ」。冷たさを逃がさず結露を防止「ビールジョッキ」など、容姿の美しさだけではなく、飲食品をおいしく保つといった機能性も併せ持っています。

 秋田杉桶樽ができるまで

美しさが引き立つように、木目と
色を合わせながら組み立てる

秋田杉桶樽ができるまで秋田杉桶樽の製作は、6つの工程に大別されます。まずは、作品の大きさにあわせた扇型の木片「榑(くれ)」を作ります。つぎに、材料になる杉の丸太を中心から扇型にわり製品の大きさにあわせ、おおよその大きさにわります。さきほどの木片を目的の寸法にあわせて削り、くれとくれの継ぎ目を作ります。より美しさが引き立つように木目と色を合わせ、くれを組立て円形状の外枠をつくり、鉋(かんな)で内側と外側をなめらかに仕上げます。同時に「罫引き」を使い、底板を入れるため溝を刻みます。最後に事前に作っておいた「たが」(竹を割き、編んで輪にしたもの)をはめ、底板を入れ、手足を使って入念に「たが」を締めれば完成です。

主な産地・拠点 秋田県
このワザの職業 指物師
ここでワザを発揮 おひつ 酒樽 銚子樽 ジョッキ 風呂桶 すし桶 花器
もっと知りたい 秋田杉桶樽協同組合